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  • ハムナプトラに登場する銃器の解説

    不死身のミイラを相手に戦いを繰り広げるアクション映画

    ハムナプトラ

    アメリカのアクションらしく、

    豊富な銃火器が出てきます。

    今回は、一作目ハムナプトラに登場する

    銃器の解説を行なっていきます。

    概要

    古代エジプト、禁じられた恋の末に

    王を殺害した神官「イムホテップ」

    ホムダイと呼ばれる儀式的極刑に処されます。

    封印されている限りは死すら訪れない永遠の苦痛を与えますが、

    封印が解かれると世界に呪いを撒き散らす不死身の存在になります。

    当然封印は解かれ、多くの人々が犠牲になるのですが、

    主人公一派はイムホテップの再封印を試みます。

    ルベルM1886

    1886年に開発され、1940年ごろまでフランス軍の主力小銃でした。

    ボルトアクション式の作動方式ですが、

    珍しく筒型弾倉を採用しています。

    散弾銃に使用されること多いマガジンで、

    弾薬が縦一列に並びます。

    そのためライフル弾に用いられがちな尖頭型の弾だと、

    一つ前の弾薬の雷管を撃発する可能性があり、

    通常はライフルでは使用されません。

    そのため、当初使用した8mm×50R ルベル弾(Balle M弾)は

    先端の平たい弾頭でしたが、精度と射程に劣りました。

    その後、弾頭を尖頭型に改良したBalle D弾が開発されます。

    Balle D弾は弾頭がやや斜めになるテーパーが設けられ、

    さらに薬莢底部のデザインを変更することで、

    弾倉内の一つ前の弾薬の雷管に弾頭が当たらないようになりました。

    ちなみに、8mm×50R ルベル弾は

    世界で初めて無煙火薬を使った銃弾であり、

    本弾薬を機に黒色火薬を用いる弾薬および銃は衰退します。

    作中では、物語序盤にリックら外人部隊の兵士が使用します。

    装弾数は8発と多いものの、チューブマガジンでは

    撃ち切った後にクリップを使用して一気に装填できません。

    そのため、アラブ人と近接してからは

    リックは1発込めては発砲を繰り返し、

    間に合わなくなってからは銃床でぶん殴ったり、

    放棄してサイドアームの拳銃に切り替えます。

    MAS M1873

    サン=テティエンヌ造兵廠に製造された

    フランス陸軍が採用したリボルバーです。

    MASとはサン=テティエンヌ造兵廠のフランス語

    Manufacture d’armes de Saint-Étienne,の略です。

    11mm M1873弾を6発装填している

    ダブルアクションリボルバーで、

    第一次世界大戦から第二次世界大戦まで、

    実に約70年にわたって使用されました。

    現代的なリボルバーとは異なり、

    シリンダーがスイングアウトしないので、

    1発ずつ排莢および装填を行う必要があり、

    作中でもそのシーンは描かれました。

    ダブルアクション式ですが、どちらかというと

    セーフティとしての機能に重きが置かれ、

    極端なトリガープルの重さから

    ダブルアクションで射撃すると命中精度がかなり下がったようです。

    作中では冒頭のアラブ人との戦いのほか、

    ハムナプトラを訪れる際も2丁持ち込んでいます。

    コルトM1911

    言わずと知れた「ガバメント」

    45口径のシングルアクション自動拳銃です。

    銃器開発家のジョン・ブローニングにより設計され、

    1911年の誕生から今日に至るまで、

    基本設計を変えずに愛されている

    傑作オートですね。

    米軍ではベレッタ92にM9として正式拳銃の座を明け渡すまで

    長きに渡り米兵に愛用されてきました。

    自衛隊でも創立当初にアメリカから供与され、

    11.4ミリ拳銃の名称で装備されていました。

    作中ではM1873と合わせてリックの装備として登場するほか、

    ハムナプトラを目指すアメリカ人グループも使用しています。

    ウィンチェスター M1897

    ポンプアクション式散弾銃で、

    ジョン・ブローニングが自身が手掛けた

    レバーアクション式散弾銃のM1893を改良して生まれました。

    第一次世界大戦では、塹壕内のような超近接戦闘において、

    散弾銃の面制圧力とストッピングパワーが評価されており、

    本銃の銃身を短くし、銃剣装着用のラグを備えることで

    近接戦闘力を底上げして、

    通称トレンチガンと呼ばれます。

    作中では、復活したイムホテップに対して使用し、

    致命傷は与えられないものの、

    体勢を大きく崩させることに成功します。

    また、迫り来る大量のスカラベにも射撃し、

    1発で10匹前後を弾けさせているので、

    装填されているのはスラッグではなく散弾でしょう。

    BSA ルイス MkI

    1913年にベルギー、1915年にイギリスで採用された軽機関銃です。

    フラットパンと呼ばれるドラムマガジンが特徴的で、

    世界初の航空機搭載機関銃でもあります。

    特徴的なドラムマガジンは、

    一見、全周がカバーされているように見えますが、

    実際には上部と側面のみカバーされており、

    下から見ると螺旋状に配置された弾薬が露出しています。

    つまり、埃やらが弾倉内に入りやすいということで、

    信頼性は現代の機関銃に比べて低かったようです。

    標準では空冷用のバレルジャケットが装着されてますが、

    消炎が射手に向けて吹き付けるなど不都合があったり、

    そもそも空冷の役に立っているのか疑問であったりして

    外されて運用されることが大半だったようです。

    作中では飛行機の後部機銃として登場するほか、

    飛行機の墜落後は外されて軽機関銃として運用されます。

    その他

    他にも、アメリカ人グループが

    コルトSAAでファニングショットをしていたり、

    M1911が配備されるまでの繋ぎとして開発された

    45口径を使用するリボルバー

    コルト ニューサービスを持っていたり、

    イギリスの中折れ式リボルバー

    ウェブリーMk Vを持っていたりと、

    多彩な銃器が登場します。

    主に馬に乗って活動する冒頭のアラブ人や

    メジャイはマンリヒャーM1895の短銃身モデルを使っています。

    文字通り騎兵銃、カービンライフルですね。

    まとめ

    たくさんの犠牲者が出るにも関わらず、

    どこかコミカルで小気味良くストーリーが進むのが

    ハムナプトラシリーズの特徴かなと個人的に思います。

    しかし、改めて見てみると、

    銃器の考証は意外としっかりしており、

    そういった目でも楽しめる作品でした。